水羊羹、おだんご談義

【おだんご談義】第三回:どうして水羊羹には3つも「羊」がつくの?

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こんにちは!おだんごです。
照り付ける太陽の日差しが夏らしい暑さを感じさせてくれます。そんな季節には、喉ごしが良く清涼感のある和菓子と冷たい煎茶で暑さをしのぎたいものですね。

水羊羹に使われる寒天は日本発のヘルシー食材

こういう時に食べたくなるのが「水羊羹」。
細い青竹の筒に笹の葉でふたが閉まっている竹流しの水羊羹や笹の葉を容器にした水羊羹は、見た目に夏の風情を感じさせてくれます。
水羊羹は寒天と水、砂糖、餡というシンプルな材料を使い、冷やし固めて作られます。

特に水羊羹には欠かせない凝固剤「寒天」ですが、実は日本生まれの健康食材で特に夏にはピッタリなんです!
寒天は食物繊維が100gあたり74.0〜79.0gと多いのが特徴です。便秘解消に役立ったり整腸作用もあります。実際和菓子の寒天ゼリーなどでは全体の0.8〜1.5%ぐらいですが、ヘルシーな食材として知られています。

寒天が発見されたのは偶然!?

粉寒天、棒寒天、糸寒天など寒天には色んな種類があります。
実は日本で寒天が製造されるようになったきっかけが以外にも偶然だったようです。江戸時代、薩摩の島津公が参勤交代の途中、京都の伏見に宿泊した際に食膳に「ところてん」を食べました。その残りをお供の者が戸外へ出て捨てたところ、数日後に外気により凍ったり溶けたり、日夜それが繰り返されたことにより、そこに棒寒天が現れたのです。そしてその発見が寒天を製造するきっかけになったと言われています。(※1)

日本人が偶然見つけた凝固剤「寒天」があったからこそ食べられる水羊羹と考えると、ますますおいしく感じるのではないでしょうか。

どうして羊羹には3つも「羊」がつくの?

次に「水羊羹」の名前について、動物の「羊」という漢字が3つも含まれているのはご存知でしょうか?まず1つ目は羊、次に羹、この字は羔(こひつじ)と美に分けられます。さらに「美しい」は「羊」と「大」に分けられます。

実は、水羊羹よりも製法が古いとされている羊羹は、「蒸し羊羹」、次に「煉羊羹」というものがあります。「水羊羹」は実は一番製法として新しいんですね。
羊羹の由来は、中国で羊肉を主とする「羹(あつもの)」=羊肉を小さく切って山芋やシイタケ、タケノコ等と一緒に似た汁物でした。(※2)
これが、平安時代の遣唐使によって日本に持ち帰られ、動物の肉ではなく、大豆や小豆、米などを使った羹に製法を変え、宮廷や仏閣の儀式用に用いられていました。

鎌倉時代には、汁を除き、小豆や山芋に砂糖を煉り合せ、蒸したものを茶席の菓子に用いられるようになり(※3)、その後、寒天で固め、砂糖を加えた煉羊羹、水分を増やして柔らかい食感にした水羊羹が作られます。(※4)

このように材料や製法から見ると、歴史が古く、先代の知恵や様々な偶然が重なって大成した「水羊羹」は、「涼」だけでなく、「浪漫」も感じながら食べるとますます、趣がありますね。

【参考文献】
(※1)小西千鶴、「知っておきたい和菓子のはなし」、旭屋出版、p93(2005)
(※2)小西千鶴、「知っておきたい和菓子のはなし」、旭屋出版、p88(2005)
(※3)小西千鶴、「知っておきたい和菓子のはなし」、旭屋出版、p90(2005)
(※4)新星出版社編集部、「和菓子と日本茶の教科書」、新星出版社、p83(2009)

おだんご先生
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