木枯らしが吹き、彩豊かな葉をつけていた木々も枝だけになってきました。寒さも厳しくなり、年の瀬を感じる季節となりました。
そんな時は、温かい食べ物が欲しくなりますよね。
和菓子では、小豆を煮て、砂糖で甘みをつけた汁で粒あんやこしあんの他、具には切り餅や白玉団子、粟(あわ)、栗などを入れた「お汁粉」があります(※1)。和の甘味処にはメニューの一品に入っています。
お汁粉、ぜんざい、関東と関西で違う呼び名
実は、関東では「お汁粉」といえば、粒あん、こしあんのどちらでも「お汁粉」と呼びますが、関西ではこしあんのものだけを「お汁粉」と呼びます。
そして、関西では粒あんのものを「ぜんざい」と呼びます。一方で、関東では「ぜんざい」は汁気の少ないあんを餅や白玉団子にかけたものをいいます(※2)。
「お汁粉」は、江戸時代に生まれた甘味で、あんの汁に子(実)として餅などを入れるため、「餡汁子餅」と呼ばれ、そのうち「汁子」、「汁粉」になったといわれています(※3)。
「ぜんざい」は「善哉」とも書き、仏教用語で「よきかな(それでよい、それはよい)」を意味します(※4)。それぞれ、意味の異なる名前がついて、同じような和菓子を意味しているなんて不思議ですよね。
お歳暮にもぴったりの懐中汁粉
また、年の暮れのごあいさつ「お歳暮」として贈ったり、頂いたことのある方も多いのが「懐中汁子(かいちゅうじるこ)」。
誰でも簡単に作れるインスタント汁粉のようなもので、最中の皮の中にこしあんの乾燥粉末と砂糖、麩、あられなどが入っています。湯をかけると最中の皮が溶け、中に入っているこしあんや砂糖も一緒に湯に溶けて、温かいお汁粉になります。生ものではないので日持ちもします。食べたいときに食べられるのも魅力の一つですね。
近頃は、抹茶味やゆず味など様々な「懐中汁粉」が商品化され、味も見た目も楽しめる和菓子になっています。
すこし小腹が空いたら、焼いたお餅を入れて、心も体もほっこりとおいしい「お汁粉」、「ぜんざい」をいただきましょう。
あんこ百貨店で購入できるおススメの懐中汁粉に、秋色庵大坂家(しゅうしきあんおおさかや)の秋色汁粉がありますよ♪お歳暮としても是非どうぞ。
【参考文献】
(※1)(※4)芝崎本実、「あんこのことがすべてわかる本」、誠文堂新社
(※2)角謙二、「和菓子の基本」、株枻出版
(※3)中島久恵、『「おしるこ」と「ぜんざい」、東西で呼び名も中身も変わる問題を解説』