ちょっと一福。【九福目:アスリートな和菓子】

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あんこ百貨店をご覧になってくださっている皆さんこんにちは、小﨑朝美です。

平昌五輪、盛り上がりましたね!
現在もパラリンピックが開催中です。普段はあまりスポーツ番組を観ない私も、日夜テレビに釘付け状態でした。

オリンピックは世界各国の文化も垣間見ることができるスポーツの祭典です。

オリンピック、国旗

そんなワールドワイドな盛り上がりで私達を楽しませてくれるオリンピックですが、実は和菓子も、同じくらいグローバルに活躍してしまう存在なんです。

そこで今回ご紹介するのはこちらの

光文社文庫
『坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジー』です。

以前ご紹介した『和菓子のアン』の作者が和菓子をテーマとしたお話を、多数の作家さんにリクエストして書いてもらった短編集です。

物語はそれぞれ一つの和菓子がモチーフになっています。

※以下本文抜粋

水まんじゅう
「ヒトはなあ、死ぬと水まんじゅうになっちまう・・・彼岸と此岸をつなぐ物語」

松露
「デーツ・・・モロッコではポピュラーなドライフルーツ・・・ねっとりと甘い。上等のあんこなようだ、・・・アラブ世界の甘味は和菓子と通ずる物」

泡雪羹
「雪降る北国へ。・・・和菓子といえば和菓子なんだが、コーヒーにも紅茶にも合いそうで。」

牡丹餅
「追憶。・・・日露戦争のとき・・・日本に戻りべっとりと餡が載った、粒の粗いもち米を頬張る。」

牡丹餅

和菓子はあの世とこの世、生と死の世界を往き来し、日本からかけ離れた外国の地にへと飛んで、雪解け間近の雪国に入り、さらには過去へとタイムスリップしていきます。

読み進めていくと、天国や現世、海外、大自然の北国、そして時代を越えて、私達が体験したことないような世界、時間までも、和菓子と共に旅しているような気分になっていきます。

坂木司先生はこう述べています。
「和菓子というテーマは本当に自由で、いただいたお話を読みながら、私は毎回驚かされました。こんな描き方があるのか。こんなつながりで和菓子を描くのか。自分だけでは、決して見ることができなかった世界。開くことができなかった扉。その向こうを知ることができて、本当に嬉しかった。」

皆さんどうでしょう?
和菓子が多くの可能性を秘め、底知れない魅力を放つ一流アスリートのように感じてきませんか。

この時期、スポーツ観戦も良いですが、ぜひ読書で和菓子の世界に【ちょっと一福。】浸ってみてください。

和菓子向上委員会
小﨑朝美(編集部コラム)
和菓子大好き元書店員、今は雑誌の編集者として奮闘中の和菓子と本のコラム。
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