葛饅頭、薬膳

なぜ薬膳的にも葛饅頭は夏に食べると絶好の和菓子なのか?~管理薬膳師がヒミツを解説

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初めまして、管理栄養士・管理薬膳師の森です。
栄養と薬膳の面から、大好きな和菓子のヒミツをひも解いてみようと思います♪

薬膳のこと

薬膳というとどんなイメージがあるでしょうか。
体にはよさそうだけど、朝鮮人参とかナツメ・クコの実など、普段使わない素材を使っていて、あまり身近には感じられない方が多いでしょうか。
薬膳は中国の伝統医学の中医学に基づいて、人が健康に生きるために、さまざまな効能を持つ食材を組み合わせて個人の体質や環境に合わせた食生活を提案するものです。

ですので、実は特別な素材を使わなくても、普段の野菜も食べ方や選び方次第で薬膳料理になるのです。
薬膳では、西洋医学でいう栄養素を、五味五性(ごみごせい)という分け方で示します。

薬膳の基礎となる五味五性とは?

「五味」は、以下の5種類で、食材が持つ味を分類したものです。

五味五性、ごみ

[参照]女性のための漢方生活レッスン(主婦の友社)、一般社団法人 日本薬膳学会 管理薬膳師教本

味といっても、単純に食べ物の持つ風味だけを指すのではなく、それぞれが体に対して独特の作用を持っています。

また、5つの味は対応する体の5つの臓(肝・心・脾・肺・腎)に影響するとされています。
食べ物がもたらす作用で分類する「五性」は、以下のような性質に分かれます。

五味五性、ごせい

[参照]女性のための漢方生活レッスン(主婦の友社)、一般社団法人 日本薬膳学会 管理薬膳師教本

食べたときに冷やす方向(陰)に働くか、温める方向(陽)に働くかを表したものです。
食物には五味五性が決まっていて、その食べ物を摂ると、どんな働きや性質を持っていて、どの臓器に働くのか?ということが分かります。

葛饅頭がどうして夏の風物詩なの?

さて、ようやく和菓子のことが語れます。
四季を彩る和菓子にもその中医学の知恵が隠れています。夏の和菓子として思い浮かぶのが「葛饅頭(くずまんじゅう)」。
餡子が葛の透明感に映えて、水羊羹ともゼリーとも違うぷるんとした食感がクセになる和菓子ですね。

なぜ葛饅頭が夏の風物詩なのでしょう?
水を使っていて、さっぱりしているし、透明感があって涼しげだからと思っていませんか?(わたしはそう思っていました。笑)

実は原料の葛の性質にヒミツが。葛は、五味五性でいうと甘味・涼性に分類されます。体を強く元気にし、少し体を冷やす方向にもっていく性質があるのです。
主な効能としては、解熱作用があり、胃腸に効く漢方薬として使用されるほど、胃腸に優しい食材です。また、口や喉の渇き・痛みを癒したり、体の水分を補う効能があります。
(風邪をひいた時などに葛湯を飲んだりしますが、その葛の効能で熱をとり、喉を潤してくれる作用があるからなのですね♪)

つまり、葛は夏の暑い時期に体の熱を摂ってくれ、さらには冷たい飲み物のがぶ飲みによって冷えて弱った胃腸に効くというわけです。
ただ見た目が涼やかなだけでなく、夏の体そのものにもぴったりの和菓子だったのです(^ν^)
このように、中医学の観点からみていくと、何気なく食べていたものも、実は意味があった組み合わせであることが多く、面白いんですよ。

 

【参考文献】
『薬膳お菓子』辰巳 洋、大村 和子 緑書房
女性のための漢方生活レッスン(主婦の友社)
一般社団法人 日本薬膳学会 管理薬膳師教本

森 友理絵
森 友理絵
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